◆其の一
蟻通神社の
由来
御祭神
天児屋根命 <蟻通大神>
御祭神は、知恵をはたらかされて国難を打開されたという故事(蟻通説話)から、「日本第一知恵の神」と称えられております。古くは「蟻通しの神」、「蟻通明神」とおよび申し上げました。太古より、紀州田辺の「地主神」としても厚く崇敬されております。
御神徳
- 学業成就
- 試験合格
- 厄除開運
- 困難突破
- 家内安全
- 国家安穏
- 事業繁栄
- 病気平癒
- 災害防除
- 子供守護
由来
はるか昔、ここ紀州田辺に外国の使者がやってきました。その使者は、
「今から出す問題を解いてみよ。もし解けなければ日本国を属国にしてしまう。」
といいました。そして、持ってきたホラ貝(七曲りの玉とも)を出して、その貝に一本の糸を通すことを命じました。
わが国の神々は、この難問にたいへん頭を痛めました。その時、ひとりの若い神さまが前に進みでて、
「私がホラ貝にその糸を通してみせましょう。」
といって、貝の口からどんどん蜜(みつ)を流しこみました。蜜は貝のなかの複雑な穴を通りぬけて、貝尻の穴へと流れだしました。そして、この若い神さまは蟻を一匹捕らえて糸で結び、貝の穴から追いこみました。すると、蟻は甘い蜜を追って複雑な穴を苦もなく通りぬけました。蟻の体には糸が結ばれていますから、ホラ貝には完全に糸が通ったのです。
これを見た外国の使者は
「日の本の国は、やはり神国である。」
と恐れ、その知恵に感服して逃げ帰りました。日本の神々は、たいそう喜んで
「わが国にこれほどの賢い神がいるのを知らなかった。」
といって、その若い神さまの知恵をほめました。
このことから、蟻によって貝に糸を通したこのお宮の神さまを、「蟻通しの神」と申し上げるようになりました。
今では日本第一の知恵の神とあがめられています。